漆器や金継ぎに使われている「漆」 漆といえば日本の物というイメージが強いかもしれませんが、実は国内で使われている漆のほとんどは国産のものではないのです。 では一体どこの漆が使われているのでしょうか。
国産の漆はわずか3%!
国内で使用される漆のうち国産の漆は、わずか3%たらずです。 昔は漆器の産地とされているところは漆の産地でもありましたが、現在は産地になっているところが1府16県に対して漆を生産しているところは1府9県と少なくなっています。
生産量1位は岩手県!
平成27年の調査で生産量の上位3件は、岩手県が約820kg、茨城県が約180kg、栃木県が約120kgとなっています。 見てわかる通り岩手県が多く、国内の約70%を占めており、その全てを二戸地域の浄法寺の漆が占めています。
二戸市浄法寺町はうるし搔きの職人が日本一多い地域で、昔から漆の産業がとても盛んな地域です。地名にも「漆畑」「漆原」「漆沢」など漆のつく地名が多く残っています。
ほとんどが中国産の漆
日本産の漆が3%ということは、残りは何産の漆なのでしょうか。 正解は中国産がほとんどです。割合にすると約95%ほどになります。中国産の漆と日本産の漆の違いはどこにあるのかご紹介します。
・値段 中国産と日本産の漆では約10倍もの値段の違いがあります。 いまでも日本産の漆は品薄の状態が続いているので、値上がりを続けています。
・品質 中国産の漆は日本産の漆に比べて劣化が酷く、硬度も低いので、傷がつきやすいです。
・見た目 見た目の部分ではやはり艶が違ってきます。 日本産の漆はしゃばしゃばといったイメージで、中国産の漆はぼてっとしたイメージです。 しかし日本産のほうが固まると硬い表面になります。
なぜ同じ漆でも見た目や固まり方が違うのかというと、成分の比率の問題です。 主にゴム質の割合が違います。中国産の漆のほうがゴム質が多いために色や艶は鈍いものになり、厚みのあるぼてっとした感じになるのです。
国内での取り組み
漆の生産の不足、うるし搔き職人の減少に伴い、国内で生産1位の岩手県をはじめとしとして数々の取り組みがなされています。
・漆の新規需要の開拓 ・ワークショップの開催 ・漆原木材調査 ・漆植栽マニュアル などいろいろな復興に取り組んでいます。
まとめ
世に出ている漆のうち国産がこんなに少ないとは驚きだったと思います。 国産の漆は他の国に比べて品質はピカイチです。漆の文化を絶やさないためにも、いろいろな取り組みにより漆が盛り上がっていくのが理想です。
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